流行のリファラル採用が組織崩壊を加速させる

人手不足感が加速する中、中途人材の引き抜きが増えています。

大手IT系上場企業は自社の従業員に向け即戦力になるweb系のITエンジニアを1人紹介することをノルマ化し、対価として報奨金100万円を支払い始めました。

この紹介キャンーペーンは取引先、下請先はもちろん、友人や業界の研究会、朝活の参加者、高校の同級生まで広まってきています。恐ろしいのはそれだけでなく、大手IT企業の人事部はこの1人の採用が決定すると1人に対してもさらに仲間を紹介するように要求し、紹介すれば100万円支払うという提案が具体的に行われています。その結果、相手先企業の引き抜きの影響は1人で収まらず、複数人数が一気に抜けるという状況に陥りつつあります。

この100万円は大手企業にとって劇的に安いのです。一般的なヘッドハンティングでは年収の30%を報酬としてもらっています。仮にエンジニアが年収600万円だった場合、180万円。約半額で雇用できるだけでなく、従業員の紹介であるため、自社の実態をよく理解して入社するため定着率が高くなる。仕事を進めるにあたって必要になる人的フォローもあり入社直後から戦力化しやすいというメリットがあります。

引き抜かれた企業はたまったものではありません。短期的に業務能力が下がり業務が滞るだけでなく、下手をすると業績悪化の一因になってしまいます。

大手企業がお金を使って強引な引き抜きを行なっている中で、安定した人材の定着を実現するためにはどうしたらいいのでしょうか?

転職の原因は、組織環境、意思決定フロー、嫁の家族ブロックなど色々あるのですが、従業員が転職を考える一番のタイミングは、業務閑散期です。

プロジェクトが走り、目の前の業務処理に忙殺されている内は転職への意識はなかなか高まりません。ところが、業務閑散期があると注意が様々なところに飛んでいってしまうため、

転職サイトを覗いて登録してみたり、転職市場での自分の価値を知りたいとエージェントと会って話をし出したりします。こうなると従業員は転職へ一直線です。

どうしても1年を通じて繁忙期と閑散期が生じてしまうのは仕方ないのですが、閑散期にキャリア面談を行い、それぞれの従業員のキャリアビジョンを実現するためのステップを確認するなど転職に意識を向けさせない取り組みを行うことは、今や必要最低限の義務活動になったと言えます。