若者の定着率が事業存続の試金石

離職率・定着率と充足率・求人倍率について厚生労働省が平成29年に公表したデータには、ある法則が示されています。

  1.  離職率が高い業界は労働者充足率が低くなるため、求人倍率が高くなる
  2.  若者の離職率が高い職種は、総じて離職率が高い
  3.  非正規雇用労働者の割合が高い産業は、総じて離職率が高い

具体的に若者の離職率と求人倍率を見てみると、高卒の3年後全産業の平均離職率は39.2%、同大卒では31.0%です。これに対して、「飲食・宿泊」、「生活関連サービス・娯楽」、「学習支援業」は、平均に対して15~20ポイント離職率が高く、高卒が60%、大卒が45%を大きく超える離職率になっています。求人倍率を見てみても、全産業の中でも求人倍率が高い業界になっています。

若者の離職率が高い業界として、「建設業」に着目してみると、高卒の3年後平均離職率は46.8%に対して大卒は27.6%。その差19.2ポイントと差が大きく開いています。また、生活関連・娯楽業で同16.7ポイント、宿泊業・飲食業でも同15.6ポイントと差があります。これらの業界は離職率の平均は超えているものの、特に高卒の離職率に引っ張られて離職率の数値が高く出ていることが分かります。

非正規雇用、特に不本意非正規労働者の傾向を見てみると、高卒離職率の高い「宿泊業,飲食サービス業」、「卸売業,小売業」、「生活関連サービス業,娯楽業」で多いという特徴があります。職業別にみると、「販売従事者」、「サービス職業従事者」で不本意非正規の割合が高いことが分かります。

不本意非正規とは、正規雇用を希望していても非正規雇用になっている雇用状態のことを言います。平成27年からゆっくりと正規雇用化が進んでいる一方、まだまだ不本意非正規の若者は多数存在しています。具体的には、15~24歳で21万人、25歳~34歳で57万人です。全年齢では273万人存在しています。

  1. 若いため、企業が求める経験やノウハウ、スキルがなく非正規しか職がない
  2. 非正規のため教育訓練を受ける機会が正社員の50%程度しかなく、ノウハウ、スキルを取得することができない
  3. 現在の賃金は低く、昇級・雇用転換の機会もない

という状況が原因で将来に夢がなく、常に転職によって新しい環境に身を置こうとしています。青い鳥を探すしか道がないと思い込んでいる若者に対し、定着率を高める仕組みは整っていますか?


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