組織力に還元される人材育成!引き出すマネジメントの重要性

人材育成には、教えることと共に、自ら考えさせることが必要です。部下の「思考」を促すことで、「能力」や「主体性」が引き出されます。ここでは、人材育成における引き出すことの重要性とその方策を考えたいと思います。

(1)部下育成で「教える」必要性とデメリット

部下育成には、一定の「教える」ことは不可欠です。何をどのようにやるのか、どのような目的や理由があるのかを伝え、仕事の理解と実行を支援します。「教えられる」ことで、基礎が身につき、その基礎が自ら考えて動く際のベースになります。

狭さと不確実性が残る時代

社会、もしくはビジネス上の「答え」は、不確定な時代になりました。選択肢は以前にも増して多様化、見極めるための要素も複雑化しています。教えることは教える側が持つ知識や知見の範囲に留まります。過去にうまくいったことでも、そのときも有効とは限りません。未熟者、熟練者を問わず、常に現状と擦り合わせるべき環境下に置かれているのです。

教えることが成長要素を奪う

知らないことやわからないことに対し、答えが差し出されれば、考える必要性は低くなるでしょう。つまり、答えを教えることは、考える過程を奪う可能性を秘めているのです。
部下が現状に合う、より良い答えを持っている、もしくは、考え出せる可能性があったとしても、表に出されないままになるかもしれません。組織視点でのプラスの機会も逃してしまいかねないのです。

部下には応用力が必要

部下の仕事、もしくはキャリア上のすべての時間や案件に付き添うことは不可能です。
自分で考え解決できる力を養うために「考える」経験まで積ませる必要があります。
「教える」ことは、基礎的なことやその時点の解決策の提供。経験の蓄積は大切ですが、一つの経験で必要なことのすべてを教えられれば、思考を外した経験しかできません。実はこの思考のプロセスこそが、一人で仕事に対峙するときや、難しい仕事を乗り越えるときの応用力となり活きてくるのです。

(2)育成には部下の情報が不可欠

上司がどれくらい部下のことを理解できていて、その理解をどれくらいマネジメントに反映させているかが部下の成長度にも影響します。適材適所の配置から、日常業務の割り振り、サポートの内容やタイミング、そして評価までをも左右するでしょう。適切なマネジメントには部下についての情報収集が不可欠であり、質問が大きな役割を果たします。

質問によるコミュニケーション創出

質問は、どんな場面でもコミュニケーションを創出できる手段です。見守っていること、気にかけていることが伝わり、安心感を与えます。育成の意図を込めるのであれば、YES/NOではなく、その部下独自の回答を促すオープン・クエスチョンが有効です。一緒に考えるという姿勢の提示にもなり、信頼関係も強化されます。話しやすい、相談しやすい関係が築かれるでしょう。

何を問うかを自問する管理職も成長

上司がすべき質問は、「A社の案件の結果は?」「請求書は送ってくれた?」など、業務の連携に関するものだけではありません。部下の状況や心理を理解するために、何を聞くべきかを考える必要があります。これは、管理職としての成長要素です。何を聞くべきかを探る過程で洞察や観察の力も養われるでしょう。
「どこを変えればもっとうまくいくと思う?」「どうやったの?」「次はどこが課題?」などの問いかけが部下の思考を促します。部下の回答が、上司に新たな学びをもたらすこともあるでしょう。

部下の答えが上司にとっての情報

自分で考えた上での「答え」(判断・アイデア)は、部下自身の内側から得たもの。
その内容が、上司にとっては部下の成長度を測る材料・情報にもなります。
部下は、業務により高いモチベーションと責任を持って、主体的に取り組めるはずです。自分ベースを元にした実行や成果に、充実感や達成感も深くなり、その先の仕事への意欲も喚起されるでしょう。

(3)部下能力を引き出す人事の取り組み

引き出しながらの人材育成のために、人事には何ができるのでしょうか。

マネージャー層の教育・研修

上司がどのような問いを投げかけるかで部下の思考や行動が変わります。
育成につながる適切な質問をするには、意識と能力・スキルが必要です。
とくに実務で高い実績を上げてきた管理職は「教える」に偏ることも多いと言われます。
「教える」だけでは、成長を阻害する可能性があることを認識してもらうことが大切。現場で「教える」ことと「問いかけで考えさせる」ことを使い分けるため、意識改革やスキル研修・教育などでのサポートが有効です。

問い/問われる機会と仕組みの提供

組織的に部下の思考や能力を引き出すための仕組みをつくることも支援になります。
忙しく業務をこなす中で、管理職と部下たちの日常に育成機会を組み込めば、コミュニケーションの創出と同時進行も可能です。代表的なものとして1on1面談などがあります。

(4)まとめ

ビジネス環境の変化も著しい昨今。経験年数の浅い人材の思考も、現代組織にとっては貴重な組織力です。考える力は応用が効きます。将来的な困難や変化に対応できる、考える力をつけた人材の集まる組織を作り上げるためにも、考えさせて引き出す育成が必要と考えます。


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