成功する採用は、常に経営・事業・人事の戦略と連動している

従業員が退職したときや人材の拡充が必要になったとき、短絡的なポジション補完や人員確保を進めると、現場に歪みが出やすいです。たとえ人材が確保できても、組織的には有効な採用成果に結びつかないこともあります。ここでは、採用時に経営、事業、人事に関する戦略と連動させることの重要性をお伝えします。

(1)採用戦略のベースとなるもの

採用の必要性が出ると、どのような人材を、誰が、どのようにしてなどを決めて採用活動に入ります。そのとき、その場しのぎの人材確保に走ると、組織全体から見てみれば、不足な採用に陥りがちです。

経営者(経営陣)の目線では、経営を維持するためには、事業と事業を動かす人材が必要です。人事の目線に移ると、事業運営を回せる人の数と能力を確保し、能力向上による効率化が求められます。従業員は、強みや能力を十分に発揮し、ライフスタイルと相性の良い働き方のできる職場を望むでしょう。

組織の事業運営は、ただ人数を確保すればできるという単純なものではありません。
適材適所の配置と教育を行い、企業側と従業員のそれぞれのタイミングも見ながら組織の人材構成を整える必要があります。従業員のタイミングとしては、業績や能力のレベルだけでなく、休職や退職もあり、人事戦略には必然的に採用も絡んでくるはずです。

今の世の中、事業は不変的なものではなく、拡大・撤退・新規発足に合わせて人的な動きが発生します。たとえ、安定していたとしても不変では困ります。常に成長を目指し、組織の中の人材能力を高め、事業遂行力を上げていかなければなりません。事業の維持・向上を考えるとき、もっとも密に関わる人的リソースのコントロールは不可欠です。つまり、人事戦略と事業戦略も連動させるべきなのです。

そして、経営。事業戦略を決めるものは経営状況です。経営が、採用におけるもっとも大きなベースとなります。

(2)採用選考の判断基準が変わる

たとえば、8年目の営業担当者が退職したとします。業績も優秀で、ネットワークづくりもうまく、リーダー育成の対象者。2年後に発足予定の新規事業の営業マネージャー候補だった人材です。このような人材の退職が、人事戦略や事業戦略(計画)に影響を与えることは言うまでもありません。

補充の必要性が出てきますが、ピンポイントな採用では不足が生じるでしょう。
「営業担当が抜けた」→単純に「営業職を募集して補充」ではいけないということです。
その人材が抜けたチームの人員構成、そのチームが担う事業の計画を考慮した採用を行う必要があります。

8年にわたる自社での業務、ポジション上の蓄積をカバーする外部人材は、簡単に見つからない可能性は高く、計画のほうの調整が必要かもしれません。リーダー育成候補を社内で新たに抜擢し、その人材のポジションが空くということも考えられます。

人事戦略や事業戦略を連動させないと、適材適所の配置も崩れる可能性があるのです。
連動させると、その場しのぎの採用のときとは、評価や判断の基準が変わってくるのではないでしょうか。

(3)人事は経営と密なコミュニケーションを取る

従来は、人事や採用は、企業の中のひとつの機能として捉えられており、経営や事業とは分けて考えられる傾向がありました。しかし、知的労働化が進み、一人ひとりの従業員の重みが増しています。グローバルに競争が激しくなる中、人材が入れ替わり立ち替わりする組織は、組織力の維持さえ難しくなるでしょう。

組織の人的リソースを管理する人事の立場に立つと、自らの業績や評価を左右することがらでもあります。人事は経営戦略や事業戦略を理解し、自らの管轄となる人事戦略を踏まえて採用を行い、事業運営のための組織力を確保しなければならないのです。

そのために、経営陣との密なコミュニケーションを取り、人事戦略に反映させる必要があります。その風土や仕組みが不十分であるなら、経営陣への働きかけが必要です。

(4)まとめ

人材の補充、もしくは拡充、いずれも採用が発生します。その採用をピンポイントに捉えることなく、中長期の経営視点を踏まえて採用を進めることが大切です。
5年後、10年後の組織の姿までを視野に入れるのと入れないのとでは、採用後に見えてくる成果はもちろんのこと、その採用過程にも大きな違いが出てくるでしょう。


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