中小規模企業でも導入しやすいコンピテンシー評価とは

「人事評価制度なんて大企業が導入するものであって、中小規模企業では必要ないだろう」
「人事評価制度を導入するにも、社内にノウハウもなければ、人事担当者もいない。当社のような中小規模企業では不可能だろう」

中小規模企業では、人事評価制度そのものを作るのが難しいと、どうしても敬遠されてしまう経営者の方も多いかも知れません。
しかしながら、経営資源に限りがあり、給与や福利厚生、労働条件等の面で大手企業に劣る中小規模企業だからこそ、人事評価制度の無いことが社員の会社に対する不満につながってしまう傾向にあります。
そこで今回は、中小規模企業でも導入できる人事評価制度として、コンピテンシー評価制度を紹介いたします。

(1)中小規模企業に人事評価制度を導入するメリットとは?

中小規模企業が人事評価制度を導入するメリットとして「社員の仕事に対する評価の透明性が上がり、モチベーションがアップすることが期待できること」が挙げられます。
人事評価制度が存在しないと、社員がどうやって頑張れば会社に評価されるのかが分かりませんから仕事にやりがいを持つことができません。ただでさえ給与や福利厚生などの面で大規模企業に劣っているのに、仕事のやりがいさえも無いのであれば、モチベーションを上げようがありません。
また、社員を正当に評価するプロセスを構築することで、会社と社員の仕事に対する考え方を統一することができ、社員が会社の経営方針等と同じ方向を向いて仕事をすることができるようになります。会社内で同じ目標に向かって業務推進することが出来れば、社員の定着も良くなり、売り上げも向上することが期待できます。

(2)コンピテンシー評価制度とは

コンピテンシー評価制度とは、具体的には、会社にいる社員で、優秀な人材の行動を基準とした評価を実施する制度を指します。
大手企業に比べて、中小規模企業では、業務内容が拡大するにしたがって業務に必要な人員を拡大していく傾向にあります。そのため、業務内容だけで人事評価制度を設定すると、途中で計画変更などが起こった場合に、再度、評価制度を設定する必要性が出てきます。
コンピテンシー評価制度であれば、自社にいる優秀な人材の行動基準をベースに制度設計を行うため、計画変更などによる影響をそれほど受けません。したがって、一度整備してしまえば継続的に活用することが期待できます。
また、コンピテンシー評価制度では、優秀な社員の行動を基準に社員を評価しますので、評価者と被評価者間で認識の差違も生じにくく、一方的な評価制度になりにくいメリットがあります。

(3)評価はすぐに給与や賞与に直接反映させない

コンピテンシー評価制度に限らず、評価制度を導入するにあたっては、評価制度導入後、すぐには給与や賞与に直接反映させないことをおススメいたします。
理由としては、いきなり評価制度を導入して、給与や賞与に反映させてしまうと、中小規模企業では社員間の距離が近いため、社員が評価ばかりを気にして仕事をしてしまう可能性があるためです。
もしも、給与や賞与に連動させる場合は、導入後に1年程度の期間を置き、社員間で評価制度が定着してきてから、連動させるほうが良いといえます。

(4)コンピテンシー評価の具体的な導入方法とは?

コンピテンシー評価制度を導入するにあたっては、以下の手順を踏みます。
・優秀な社員へのヒアリング
・基準項目シートの作成
・一般社員による目標設定
・評価タイミングを決定

コンピテンシー評価の具体的な導入方法として、優秀な社員の行動を基に評価シートの作成を行います。そのため、ヒアリングを優秀な社員から行うことが必要です。もしも、社内に規範となる社員がいない場合は、企業の理念などを参考として、評価シートを作成する方法もあります。
評価シートが作成されたら、一般社員に対して、評価項目を配り、一般社員自らで、目標設定を行います。コンピテンシー評価は、基本的に、評価される社員の自発性を促すことも大切なため、経営者や管理職の要求を最低限残しつつ、本人の希望を盛り込んだ評価シートにする必要があります。
最後に、評価タイミングを決定します。
評価のタイミングは部署ごとに変わっても問題ありませんが、もしも給与や賞与に評価を反映させたいと考えている場合は、評価タイミングを賞与の支給月の2か月前にしておくなど、会社の事情に合わせて設定するようにしましょう。

(5)まとめ

中小規模企業においては、まず、評価制度を制定することで、社員からの不満をなくすことができます。
評価制度が社員間で定着するまでは、なかなか目に見えた成果が出ずに焦ることもあり得ますが、評価制度があることでやりがいを見出して働いてくれる社員は必ず出現します。評価制度導入は、非常に時間のかかる仕事ですが、その分効果が大きいことを肝に銘じておくべきでしょう。
コンピテンシー評価制度を導入して、出来るところから評価制度を設計していくことをおすすめします。


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